認知症あれこれ
認知症あれこれ
まず、「成年後見制度」をちょっとおさらいしときます。
その役割として、精神上の障害等(認知症、知的障害、精神障害等)によって判断能
力が不十分であるために、契約など法律行為の意思決定が困難な人の能力を補う制度
でしたね。
ということは、本人に代わって法律行為をすること。
決して身の回りの世話をする身体介護などの行為は含みません。
そして、その目的は大別して
① 財産管理→預貯金の管理、払い戻し、公共料金の支払、不動産の管理、処分等
② 身上監護→療養看護に関わる、日用品の買い物、介護サービスの利用契約等
でした。
また、その方法として
① 法定後見→家庭裁判所に申立して、家庭裁判所が審判し後見人を定める
② 任意後見→本人が判断能力があるうちに、契約でその際の代理人として定める
でした。
さて、問題はその対象者です
法定後見も任意後見もスタートは、
「精神上の障害によって、判断能力が減退した者」が対象でした。
で、「判断能力」です。
ざっくりと4つに分けられます、専門用語も記します、ないと説明しきれないので・・・
「んー、そうなん」程度でよいのでついてきてください。
① 認知症高齢者
これは病気なんです、残念ながらよくある話で発展途中で完全回復はほぼないようで
す。
認知症の約9割は以下3つの症状、よく耳にする「アルツハイマー型認知症」「脳血管
性認知症」「レビー小体型認知症」です。
- アルツハイマー型認知症
脳の萎縮による認知症で徐々に進行します。
- 脳血管性認知症
脳梗塞・脳内出血など、脳の組織が壊れることで起こる認知症で急激に認知症とな
り、再発しない限りは進行はしません。
- レビー小体型認知症
脳の神経細胞内に、レビー小体という物質が多数現れ、初期には認知機能障害に
より、幻想・妄想といった精神症状が発症します。
- その他
「ピック病」「クロイツフェルト・ヤコブ病」「正常圧水頭症」「薬物性疾患」等
があり、複合型もあるし、損傷部位のちがいで症状も異なります。
次が、知的障害
これは、認知症のように一つの病気ではなく、様々な原因により生じた知能発達の遅
れと、その結果としての社会適応障害を主症状とします。
彼らは都道府県知事発行の「療育手帳」を所持しています。
また、「ダウン症」「自閉症」はそれ自体が知的障害ではないし、「注意欠陥障害」
「学習障害」「アスペルガー症候群」等の様々な発達障害も知的障害ではありませ
ん。
3番目は精神障害
統合失調症、感情病(そううつ病)等です。
統合失調症は、10代後半から20代後半に発症率が高いとされています。
また、後発的統合失調症は60代後半に発症し、女性の比率が多いそうです。
ノイローゼ、人格障害、心身症は精神障害に含みません。
その他に
疾病や事故による能力減退 → 高次機能障害等もあります。
病気や事故など様々な原因で、脳が部分的に損傷を受けたことで生じる、言語や記憶
など知的障害をいいます。
新しいことが覚えられない、注意力・集中力の低下、感情や行動の抑制がきかなくな
るなどの精神・心理的症状がでて、周囲の状況にあった適切な行動がとれなくなって
生活に支障をきたすようになります。
で、長かったですけどここまでが、序章となります。
ここから、「認知症」に関することです。
まず、現状はといいますと
2000年に「介護保険制度」がスタートしたんですが、
それによると要支援・要介護認定者に該当した高齢者のうち、ほぼ半数が認知症を発
症しているというデータがあります。
また、その人数は2012で300万人を突破しました。
また、介護認定者も含め高齢者(65歳以上)の認知症高齢者は全体の7.2%です
(2012 厚生労働省調査)
「他人事」ではないです。
ちなみに、成年後見制度を運用してる人は年間3万人程度らしいので、「こらうち
も、成年後見制度を考えなあかんな」ってのん気にしてる場合やないってことです。
だって、300-3=297万人はあぶれるんです。
また、高齢化に伴い認知症発症者は年々増加し、2030には400万人を突破すると予
想されています。
「ほんまにえらいこっちゃ!」なんです。ぞっとします。
すみません、今日2014/05/25のテレビ視聴しました。
2014で認知症460万人を越えてるようです。
ということは、460-3=457万人があふれます。致命的です。
で、「くー、最近物忘れがひどいな、もしかして認知が始まったかしら?」
「考えとーもない!」
おっしゃるとおりです、できれば僕も「考えとーもない!」です。
たわいもないクイズです。
「昨日の晩飯、何、食べました?」
「あれ、何やったっけ、あ、ザルそばは食べたわ。あと何くったっけ・・・」
忘れてしまった・・・
「これって、やばいの?認知症なん?」でちょっとビビリます。
さて、じゃ「認知症って、どうなん?」です。
例えば、僕が「お医者さん、僕、認知症ですやろか?」って受診したとします。
すると、医師はあるテストをします。
① 記憶障害があるか?「短期」と「長期」
短期記憶障害 → たとえば3つのものの名前を覚えて5分後にそれを思い出すこと
ができない。
「サクラ」「みかん」「新幹線」とかで良いです。
長期記憶障害 → たとえば誰でも知っている過去の出来事を思い出せない。
「チューリップ」の歌とか歌えるか?とかです。
で、短期記憶障害に該当したら・・・ チョットやばいです。
② 記憶以外の知能障害または性格変化を認めること
一般に知能障害には、
・抽象思考 → 簡単な計算や、ことわざの理解
・判断 → 日常生活上で起こりうる問題に対し、合理的な判断ができない。
・失語 → 会話に問題あり
・先行 → 服の着方がわからないとか
・失認 → 家族を認識できないとか
とかがあります、これが一つでも該当すると・・・ ほぼほぼアウトです
③ 上の①②の障害により生活に支障をきたしていること
職業や日常生活、対人関係などでたとえば、
「きれい好きの奥さんが、部屋に入って見るとメチャメチャ」
「大切なものと一見して判別がつく書類をなくす」
「コンロに火が着いているのを忘れる」
「いつも飲んでる薬が、わけがわからんようになって飲めなくなった」
みたいになることです。
④ 意識障害がないこと
軽度の意識障害によって、認知症と同じような症状が現れることがあります。
これを「せん妄」といいますが、たとえば、高齢者が手術を受けた後などに発症した
りします。
でも、治療や自然経過により改善します。認知症ではありません。
⑤ 器質性疾患の確認
科学的にCTやMRI、脳SPECT検査などで、脳神経細胞の変性、脳血管疾患、脳腫瘍
や代謝性疾患などを確認する。
とどめをさされます・・・ まちがいない・・・
ぎゃくに
① 健康な老人の物忘れ
さっきの僕のパターンです。
健康な人の物忘れは、体験の内容の一部を忘れるのであって、全体は忘れないことが
多いし、忘れていることを自覚しています。
これが、認知高齢者の物忘れは、体験全体を忘れ、またそれを自覚しないため、妄想
や徘徊へ発展することも多く、日常生活にも支障がでてくることになるんです。
よーするに、「昨夜飯を食ったことは覚えてるけど、ザルそば以外が出てこない→一
部を忘れた」けど「飯を食ったこと→全体」は覚えてるから、
よって、「セーフ!」
もし、認知症やったら、あれです、よくドラマとかで見る
義母「よし子さん、晩御飯まだ食べてないから、はよ作ってよ!」
嫁「何言うてんの、今さっき、焼きそば食うたやんか!」
義母「食べてへんは、餓死させる気か、この鬼嫁!」
嫁「餓死なんかせーへんは食うてんから!」
義母「(ここにおったら、殺される、脱出せなアカン!)」 → 徘徊
っていう図式です。
あ、それから「せん妄」ですが、一ヶ月以上続く場合はもはや「せん妄」ではなく
認知の可能性があります、必ず医師の判断を仰ぎましょう。
もっと、記すこといっぱいあります。でも、
最後に
「認知症」
「好きでなるもんなんか、いてへん!」です。そして、病気です。
僕たち、周りの者はそのことを頭に入れて気づかうことが大切なんです。
「認知症」って、実は本人は自覚してるもんらしいです。
「かっこ悪いし・・・」って、隠すんです。
でも、もしアルツハイマー型認知症やったら、「アリセプト」っていう薬があって
初期やったら進行を抑制することができるかもしれんのです。
お互いの人生です、みんな良い人生を歩みたいんです。
ごく小さな出来事でも、「気づかいしましょう!」
「あとで、もし、なってしまったら・・・」も続きます。